弔辞の文例について
基本の書き方について
1.故人へのよびかけ、「〇〇さん、・・・」
2.訃報を知った驚き、故人への哀悼
3.故人と自分との関係
4.故人の人柄や経歴、業績
5.故人への感謝の言葉
6.残された者としての決意
7.故人の冥福を祈る結びの言葉「どうぞ安らかにお眠りください」
注意すべき言葉のマナーについて
忌み言葉と呼ばれる下記の言葉は使わないよう注意すること。
重なる、重ね重ね、再三、くり返す、くれぐれも、たびたび、しばしば、ときどき、返す返すも、さらに、続く、皆々様、死、死亡、苦、四、九・・・など。
☆宗教別「死」を置き換えて表す言葉
仏教・・・往生、成仏、他界
神道・・・帰幽(きゆう)
キリスト教・・・帰天、昇天、召天(しょうてん)
社員代表から社長への言葉について
ポイント:二代目社長の場合、業績や人柄の紹介を通して「すばらしい後継者」だったことを強調します
故・山上周一社長の御霊前に、社員一同を代表し、お別れのごあいさつを申し上げます。
皆様ご存知のように、当社は社長の父上が創業されました。父上亡きあと、社長が後継されたわけですが、父上譲りの誠実な商売の姿勢に、社長ならではの若い発想とエネルギーを加え、業界の景況が依然厳しい中、堅調な経営を続けてこられました。
役員には社長より年長者も多かったのですが、社長は礼節と謙虚な姿勢を忘れず、かつ経営者としてのリーダーシップは発揮するという大変すばらしい手腕ぶりでございました。私どもも学ぶところが多く、これからは社長のもと、当社の一層の発展に力を注ごうとしていた矢先の、この悲報です。
指導者を失った悲しみと不安はつきませんが、このようなときにこそ社員一同が力を合わせて社長の指針を引き継ぎ、ご恩義に報いる所存です。どうぞ安らかにお眠りください。
取引先の会長への挨拶について
ポイント:すでに第一線を退いても「これからもリーダーとして活躍してほしかった」と惜しむ表現を添えます
〇〇株式会社会長、故・竹井光夫氏のご逝去を悼み、御霊前に惜別の辞をささげます。
竹井会長と当社がおつきあいを始めさせていただきましたのは、20年前、会長が業務部長時代のことでした。製品の品質管理についてはとりわけ厳しく私どもに対して容赦ないご指摘をいただくこともございましたが、そのおかげで、私どもの技術は大きく向上いたしました。
社長にご就任なさってからも、卓越した経営手腕、こまやかな社員教育、取引先との信頼関係の構築のしかた、あるいは業界内での人望の厚さを通し、私どもが学んだことは、数えきれません。業界のリーダーとして、これからも私どもを指導してくださることを願っておりましたが、それもかなわず、まさに痛切の極みでございます。
竹井会長の偉大なご功績に敬意をあらわすとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。どうぞ安らかにお眠りください。
部下から上司への言葉について
ポイント:職業人として尊敬していたこと、また上司として信頼し敬愛していたことを述べ、失ったものの大きさを語ります
故・鈴木博部長の御霊前に、営業部を代表し、哀悼のごあいさつを申し上げます。
2週間ほど前、お見舞いに伺いましたのが最後のお別れになってしまいました。しごとのことを気にかけ、早く復帰したいという力強いお言葉をいただいておりましただけに、突然の訃報にただ呆然とするばかりです。
部長の手腕には、社の内外から厚い信頼が寄せられておりました。そして私ども30名の営業部員にとって、部長はもっとも尊敬する営業のプロであり、ときに厳しく、ときに寛容なよき上司でした。
部長のご指導を今後受けられないことは、私どもにとって大きな悲しみであり、絶望であります。しかし、これまで教えていただいたご教訓を生かし、会社の一層の発展に尽くすことが、私どもが部長のためにできる唯一、最善のことと考えております。どうか、これからも私どもをお導きください。
友人代表からの挨拶について
ポイント:長年のつきあいを振り返り、思い出に残っていることを具体的にあげながら、親友を失った悲しみを述べます
田中君。
君とは、高校時代に知りあってから、50年以上にわたるつきあいをしてきました。昨年の同窓会で冗談交じりに「どちらかが先に逝ったら、残されたほうが弔辞を読もう」と約束しましたね。こんなにも早く、そして私が残される側になって約束を果たすことになろうとは、思いもしませんでした。
君とはずっととぎれることなく会っていたけれど、今思い出すのは、やはり若き日の姿です。朝まで酒を酌み交わしたこと、熱い議論を戦わせたこと、あるいは取っ組み合いのケンカをしたこと。それらを通じて、われわれのきずなは一層強固なものになりました。今、君という無二の親友を失い、自分の身がもがれてしまったような悲しみを感じています。
君のことは、これからもずっと忘れません。
田中君、今までの友情、ほんとうにありがとう。どうぞ、安らかにお眠りください。
会社の同僚への言葉について
ポイント:個人の口癖などをそのまま紹介するのも、人柄や仕事ぶりを生き生きと伝えるいい手法です。
松浦君。黒いリボンをかけられた君の遺影を見ても、いまだに信じられない思いです。
人一倍健康的だった君が、もう眠りから覚めることはない。もう君の明るい笑い声を聞くことができない。そう考えると、悲しみに沈むばかりです。
仕事熱心だった君は、いつも「現場には、デスクワークでは見つけられない答えが転がっている」を口癖にして、精力的に持ち場を回っていました。自分の足で動き、自分の目で確かめることを大切にする君の姿勢には、大いに触発されたものです。
しかし、君のパワフルな仕事ぶりの陰で、ひそかに病気が進行していました。それを思うと、職場をともにしながらそれに気づかなかった自分のうかつさを責めるばかりです。
君が、会社の仕事にかけた情熱を、及ばずながらわれわれが受け継いでいきます。
松浦くん、どうぞ安らかにお眠りください。
「冠婚葬祭 マナーの便利帖」より
「短いスピーチあいさつ実例大事典」より